小品盆栽とは、掌上盆栽とも呼ばれて親しまれるように、そのサイズが10㎝前後と、ごく小さく作られた盆栽をいう。これに用いられる樹種は、一般盆栽と全く同じで、それでいて寸余の盆上に、古趣溢るる雅味を醸し出さねばならぬ。


最近の小品盆栽熱には、目を見張るものがあるが、決して小品盆栽が安易で入門的なりと考えるのは早計と警句したい。真の小品盆栽とは、大型盆栽の優品に勝るとも劣ることのない、鋭い美的感覚を織り込んだ作品で、識者の審美眼を魅了させるに十分であって欲しい。


培養の技術や管理は、思い過ごすほどむずかしい点はなく、ただ鉢が小さいので、灌水の面で大型盆栽と比べるとわずらわしさをやや感じる程度であり、その他は一般盆栽とすべて同じでよい。


しかし、小品なるが故に、独得の細かい神経を随所に配慮しなければ良品は作出されないし、また、これを維持することもできない。


さらに鉢合わせの妙味や、鑑賞の際の陳列などの演出技法においては、とうてい大盆栽では用いることや味わうことのできない”遊び”がある。遊びといっても、この厳しさの溢れた遊びことが、本来、小品願望の思想であり、精神であったと思われる。情熱的意図で、小品盆栽の極致に挑まれた先人の功績が、現在も多くの愛盆家に支持されて、今日の小品盆栽がある。


盆栽大事典2189p 梶山 富蔵より引用